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古谷 美紗; 米谷 達成; 中川 雅博; 上野 有美; 佐藤 淳也; 岩井 保則*
保健物理(インターネット), 55(2), p.97 - 101, 2020/06
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所では、放射性気体廃棄物中に存在するトリチウムガス(HT)をトリチウム水蒸気(HTO)に酸化するため、酸化触媒を600Cに加熱して使用している。本研究では、酸化触媒の加熱温度を低下させ、より安全なHモニタリング手法を確立することを目的として、疎水性Pd/SiO触媒, CuO触媒、及びPt/AlO触媒の異なる温度条件下における水素ガスに対する酸化効率を検証した。その結果、疎水性Pd/SiO触媒及びPt/AlO触媒の水素に対する酸化性能はCuO触媒と比較して優れており、25Cの室内温度条件下においても水素を十分に酸化する能力があることが明らかとなり、Hモニタリングにおける安全性の向上が期待できる。
入澤 啓太; 工藤 勇*; 谷口 拓海; 並木 仁宏*; 大杉 武史; 中澤 修
QST-M-16; QST Takasaki Annual Report 2017, P. 63, 2019/03
廃棄物管理の観点から、放射性分解Hガスをできる限り抑制することは、長期保管及び処分時において火災や爆発のリスクを低減するためには、望ましい。そのため、加熱処理による水分率を最小化した代替セメント固化技術を開発している。本技術は、90C、非照射下において、実現可能であることが報告されている。実際の廃棄物は放射性であり、本技術の適用が放射性分解Hガスの抑制に効果的であるかどうかは、未だ不明である。そこで、本技術によって作製されたリン酸セメントから発生した放射性分解Hガスを直接、分析した。その結果、本技術の適用により、放射性分解Hガスが低減でき、そのリスク低減につながることがわかった。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
QST-M-2; QST Takasaki Annual Report 2015, P. 87, 2017/03
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する廃吸着材は線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、ケイチタン酸塩とSb吸着材の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC),高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、模擬廃棄物の種類が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
永石 隆二; 本岡 隆文; 山岸 功
Proceedings of 2016 EFCOG Nuclear & Facility Safety Workshop (Internet), 6 Pages, 2016/09
多核種除去設備(ALPS)の高性能容器(HIC)中で起きた炭酸塩スラリーの液位上昇に伴うたまり水発生は、スラリー中のSr-90等からのベータ線による放射線分解に起因すると考えられるが、詳細は明らかにされておらず、その原因究明に関する実験的研究を東電、東芝、栗田工業と協力しながら段階的に進めてきた。実験では、水素が主要なガス生成物であり、海水成分のハロゲン化物イオンだけでなく凝集沈殿処理剤の炭酸イオンによってもその発生が促進されることがわかった。また、水素が溶存種から気泡に変わり高粘度のスラリーに保持されることで、スラリーの容積変化(膨張)が起こるとともに、照射下で特異に上澄み水が形成されることがわかった。
谷口 直樹; 川崎 学*; 藤原 和雄*
JNC TN8400 2001-011, 62 Pages, 2001/03
自然環境で使用される金属材料の腐食が微生物の活動による影響を受ける場合のあることが知られている。高レベル放射性廃棄物処分においても、地下深部に生息する微生物や地上から持ち込まれた微生物がオーバーパックの腐食挙動に影響を及ぼすことが懸念される。そこで、本研究ではまず、腐食に影響を及ぼす代表的な微生物である硫酸塩還元菌について、オーバーパック周囲を取り囲む緩衝材の主成分であるベントナイト中における増殖挙動を調査した。人工海水とベントナイトを混合した培地での培養を行った結果、ベントナイト/水比が大きくなると硫酸塩還元菌の生菌数は低下し、約1000g/l以上ではほとんど増殖できないことがわかった。次に、保守的なケースとして硫酸塩還元菌の活性が高くなった場合を想定し、その活動によって生じるS(-II)によるオーバーパック候補材料の腐食挙動への影響を調査した。模擬地下水として人工海水を用い、分圧0.1MPaの硫化水素ガスを溶液中に吹き込み、炭素鋼、チタン、銅の浸漬試験を行い、窒素ガスを吹き込んだ場合の結果と比較した。その結果、硫化水素吹き込みによる炭素鋼の腐食への影響は小さいが、銅の腐食は数百倍以上加速されることがわかった。また、硫化水素吹き込みによるチタンの水素吸収の加速は認められなかったが、水素吸収量は純チタンと0.06%Pd入りのチタン合金で異なる値となった。
棚井 憲治; 佐藤 治夫; 村上 文啓*; 井上 雅弘*
JNC TN8400 99-045, 108 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工バリア候補材料の一つである炭素鋼オーバーパックから発生した水素の緩衝材中の移動特性と水素ガスが及ぼす影響について検討するため、緩衝材の候補材料であるベントナイト単一材料および30wt%ケイ砂混合材料を対象とした溶存水素の拡散試験およびガス移行試験を実施し、基本データの取得およびガス移行メカニズムの把握を行った。また、これらの試験により得られたデータに基づいて拡散およびガス移行それぞれに関わる解析的検討を実施した。溶存水素の拡散試験結果から、ケイ砂混合系(ケイ砂混合率30wt%,乾燥密度1.6Mgm-3)での拡散係数は、10-11m2s-110-10m2s-1の範囲にあり、諸外国の試験結果の範囲とほぼ一致していた。また、拡散係数は、乾燥密度1.6Mgm-3に比べて1.8Mgm-3の値がやや小さく、また、25に比べて60の時の値の方がやや大きい傾向を示した。ガス移行試験においては、ベントナイト単一材料で乾燥密度1.8Mgm-3の場合におけるガス有効浸透率は、10-2110-20m2程度であり、30wt%ケイ砂混合系で乾燥密度1.6Mgm-3の場合10-17m2程度である。また、ガスがベントナイトを透気するための破過圧力は乾燥密度に比例して大きくなる傾向にあるとともに、膨潤応力にほぼ比例しており、その値はおおむね膨潤応力程度と推定された。さらに、繰り返し試験結果から、ガスの移行によって緩衝材中に生成される移行経路は、ベントナイトの自己シール性によって修復されることがわかった。溶存水素の拡散解析の結果からは、炭素鋼オーバーパックの腐食速度を5my-1,溶存水素の拡散係数を2x10-11m2s-1とした場合、水素発生開始から1万年後にはオーバーパックと緩衝材の界面にガス発生量の81%程度が蓄積するとともに、その蓄積圧力は16MPa程度であることがわかった。一方、ガス移行解析では、発生した水素ガスのほぼ全量が周辺岩盤に移動するとともに、間隙圧力への寄与は小さく、かつ、緩衝材中の間隙水の排出量も30年以降ほぼゼロに近い値となることがわかった。これらより緩衝材や岩盤の構造力学的安定性や核種移行に影響を与えないことが示された。
橋爪 修司; 松本 潤子; 馬場 恒孝
材料と環境, 47(10), p.638 - 644, 1998/00
原子力発電所から発生する不燃の固体状の低レベル放射性廃棄物である雑固体廃棄物は、ドラム缶内にてモルタルにより固形化される計画である。固形化後、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて浅地中処分が実施される。雑固体廃棄物はAlのような両性金属を含む。モルタルのような高pH環境中で、Alは腐食してガス発生することが良く知られており、ガス発生は雑固体廃棄体の浸出性に影響を与える可能性が高い。Alは、雑固体廃棄物から除くよう計画されているが、実際には微量のAlが混入するであろう。したがって、Alの腐食を起因としたガス発生挙動に与える環境因子の影響を検討した。Alの腐食度とガス発生量に与えるpH、温度の影響は大きいことが明らかとなった。Alをモルタル模擬環境中に浸漬すると、主にアルミン酸カルシウム化合物が形成されるとともにHガスが発生する。pHが12~13である20~60Cの環境では、1molのAlの溶解に対して1.5molのHガスが発生することが明らかとなった。
和田 隆太郎*; 西村 務*; 藤原 和雄*; 降矢 喬*; 田邉 誠*
PNC TJ1058 97-003, 33 Pages, 1997/03
TRU廃棄物を構成する金属材料の腐食による水素ガス発生量を定量的に評価するための第1段階として、ハル・エンドピースの構成材料であるジルカロイ及びステンレス鋼の処分環境下における腐食機構や水素ガス発生挙動等について文献調査を行うと共に、これらの試験片について密閉容器を用いて還元条件下で海水系模擬地下水(pH10、12.5)中に浸漬して(30、50)、水素ガス発生量の経時変化を180日間に渡って測定した。併せて、浸漬試験前後の試験溶液や試験片について各種分析を行った。(1)ジルカロイ-4の腐食による水素ガス発生量から算出した等価腐食速度(Zr+2H2OZrO2+2H2と仮定)は、大略10-410-3m/yのオーダーであったが、PH12.5の強アルカリ性溶液中では醋イオン(HZrO3-)の生成に起因すると考えられる腐食速度増大の可能性が示唆された。(2)ステンレス鋼(SUS304)の腐食による水素ガス発生量から算出した等価腐食速度(3Fe+4H2OFe3O4+4H2と仮定)は、pH12.5の強アルカリ性溶液中では大略10-410-3m/yのオーダーであったが、pH10の溶液中では、孔食状の局部腐食の発生に起因すると考えられる等価腐食速度の増大が、特に50の試験において明瞭に認められた。(3)今後の検討課題以上の研究結果より今後検討すべき課題としては、超高アルカリ性溶液中での腐食による水素ガス発生挙動評価、還元条件下におけるステンレス鋼の局部腐食挙動評価、長期に渡る水素ガス発生挙動評価試験、材料側因子の影響評価等が挙げられた。
徳永 興公; 青木 康; 佐藤 章一; 須田 昇一*; 宮本 和千代*; 鈴木 良治*; 青木 慎治*
Applications of Isotopes and Radiation in Conservation of the Environment, p.105 - 114, 1992/00
電子ビーム照射による都市ごみ燃焼排煙のNO,SO,HClを同時に除去する研究を行った。実際の排煙の組成Nと同じ組成の模擬排煙を粉末状の水酸化カルシウムを添加しながら電子ビーム照射した。その結果、150Cで10kGyの電子ビーム照射によって脱硝率75%、脱硫率及び脱塩化水素ガスはほぼ100%が得られた。脱硝率は、照射温度依存性が大きく、照射温度が低い方が大きかった。このプロセスにおけるNO,SO,HClは、水酸化カルシウムと反応して、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム及び塩化カルシウムとしてドクフィルター2は、電気集じん器で回収できた。
田中 茂; 森田 洋昭*; 桜庭 順二*
Japanese Journal of Applied Physics, 19(9), p.1703 - 1710, 1980/00
被引用回数:10 パーセンタイル:48.16(Physics, Applied)水素ガス中でのホローカソード放電実験をした。内径1cm,長さ2cmのBa含浸型Wカソード又は、酸化物塗布Niカソードをホローカソードの電子エミッターとして使用した。ホローカソードを平板陽極と対向させて放電させたところ、1Torr・l/s以上のガス流量で、放電維持電圧は40~60V,放電電流は120A(電源容量により制限された)までであった。このホローカソードを10cmデュオピガトロン型水素イオン源のカソードとして使用した場合には、ガス流量とソース磁場電流に依存するが、80~120Vの放電電圧となった。このイオン源からビーム引出しを行ない、25keVの水素イオンビームが3A得られた。
菱田 誠; 根小屋 真一; 江森 恒一; 小川 益郎; 大内 光男; 岡本 芳三; 佐野川 好母; 中野 忠典*; 萩原 威一郎*; 時枝 潔*; et al.
日本原子力学会誌, 22(3), p.181 - 188, 1980/00
被引用回数:1 パーセンタイル:22.79(Nuclear Science & Technology)水素ガス二次冷却系は、既設ヘリウムガスループの二次系として設置された最高温度900C,最高圧力42kg/cm・Gの水素ガスを循環させる試験装置であり、製鉄に用いる還元ガスとヘリウムガスとの熱交換系を水素ガスとヘリウムガスとの熱交換系で模擬した装置である。本装置は昭和52年1月末に完成し、今日まで約1000時間の高温運転に成功した。また、ヘリウム/水素・熱交換器の水素透過試験をはじめとする各種の試験を行い、多くの貴重なデータを得た。とくに、水素透過の試験では、熱交換器の伝熱管にカロライズ処理を施すことによって、水素透過量が1/30~1/50に減少すること、積算約1000時間の高温運転、温度変化に対しても安定であることを実証した。本報では、水素ガス二次冷却系の概要について報告する。
菱田 誠; 滝塚 貴和; 小川 益郎; 根小屋 真一; 江森 恒一; 大内 光男; 佐野川 好母
日本原子力学会誌, 22(5), p.326 - 334, 1980/00
被引用回数:2 パーセンタイル:33.85(Nuclear Science & Technology)水素ガス二次冷却系を構成している熱交換器,高温配管などについて伝熱試験や断熱性能試験を行った。試験条件は、水素ガス温度~900C,水素ガス圧力~40kg/cm・G,ヘリウムガス温度~1000C,ヘリウムガス圧力~40kg/cm・Gであり、多目的高温ガス炉の運転条件とほぼ同じ範囲である。得られた試験結果は次のとおりである。 (1)熱交換器の伝熱性能を表す熱通過率や温度効率などの実験値は計算値と良く一致した。また、本報で行った伝熱特性の解析方法もほぼ妥当であると言える。(2)高温機器の耐圧管の温度分布はほぼ一様であり、目立ったホットスポットも発生しなかった。また、内部断熱材の有効熱伝導率は他の実験結果と良く一致していた。すなわち、本装置の内部断熱材の施工方法は良好であったと考えられる。
藤村 理人; 安藤 良夫*
溶接学会誌, 32(2), p.91 - 100, 1963/00
一般に金属内に含有されるガスが金属の諸性質に大きな影響を与えることが知られている。その場合、影響を与える主なガスの種類は水素、酸素、窒素である。アルミニウムおよびその合金においてもこれらのガスの影響は例外ではないが、アルミニウムと窒素の間ではAINまたはアルミニウムと酸素の間でAlOという比較的安定な化合物をつくって金属中にまたは金属表面に析出することになるので、窒素および酸素の影響はこれら化合物の影響におきかえられることになる。ところが、一方、アルミニウム合金中に含有される水素はどういう形で存在するのかいまだ十分明かではないが、アルミニウムの含有ガスを分析すると全ガス量の80%以上が水素であることが明らかにされている。すなわち、アルミニウム中には水素が単体として含有され、直接的に諸性質に影響することがわかる。しかしながら、後に述べるごとく、アルミニウムと水素との間には溶解吸収というような簡単な現象で片づけられないいくつかの問題点を有している。ともあれ、アルミニウムの諸性質に直接影響する含有ガスは水素であると限定して考えてさしつかえないと思われる。そのため、ここではアルミニウムおよびその合金溶接部の諸性質におよぼす含有ガスを水素に限ってその影響を論究することにする。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する凝集沈殿スラリーは線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、鉄共沈スラリー固化試料では炭酸塩スラリー固化試料と比較して水素の発生量が少なく、廃棄物に含まれる構成成分が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
永石 隆二; 本岡 隆文; 山岸 功; 井上 将男; 松村 太伊知
no journal, ,
多核種除去設備(ALPS)の高性能容器(HIC)中で起きた炭酸塩スラリーの液位上昇に伴うたまり水発生は、スラリー中のSr-90等からのベータ線による放射線分解に起因すると考えられるが、詳細は明らかにされておらず、その原因究明を含めたスラリー廃棄物の安全管理の観点から、放射線分解挙動に関する研究を段階的に進めてきた。シリーズ発表として本報告では、処理水中の海水成分や添加物の炭酸塩が与える水の放射線分解への影響について議論するとともに、分解生成物の過酸化水素の熱分解による酸素発生等について述べる。
荒井 陽一; 比内 浩; 駒 義和; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
多核種除去設備の炭酸塩スラリー廃棄物を収納する高性能容器(HIC)の上部にたまり水が発生した。炭酸塩スラリー廃棄物は主にSr-Yを含み、この線によりスラリー中の水の放射線分解により水素ガスが発生し、スラリー内に滞留することによる見かけの体積膨張が一因と推察されている。このため、実スラリーから発生する水素量を測定し、水素発生挙動を調査した。水素濃度の経時変化により、炭酸塩スラリーから発生する水素の総量は時間に比例して増加した。水素発生のG値は水の放射線分解によるG値と同程度であり、試料から発生した水素ガスはスラリーに含まれる水の放射線分解に起因すると推察される。スラリー層中の水素の滞留については21日後、スラリー層に保持された水素を気層に追い出すために容器を振とうして水素濃度を測定した結果、振とう前後の水素濃度は同程度であった。スラリー層が1.8cmと極端に短い本体系では、水素はスラリー層から気層へと速やかに移行した。固液比の影響については、固液比が10%程度増加した条件では水素発生量に変化は認められなかった。以上より、水素の滞留による見かけの液位上昇には、一定のスラリー層の高さや密度が必要であると考えられる。
吉田 涼一朗; 山根 祐一; 阿部 仁
no journal, ,
溶液燃料の臨界事故では、核分裂に伴って水素ガスが発生することが知られている。溶液の密度低下を通じた出力の一時的低減効果や、爆発などの二次的事故の誘因可能性から、その発生量を核分裂数と結び付けて精度よく推定することが臨界事故時の安全性評価上重要である。過渡臨界実験装置TRACYで取得した、硝酸ウラニル水溶液の過渡臨界時に発生する水素ガスのベントガス中濃度の経時データは、反応度添加から500秒前後にピークに達することとその後の長いテールから、単純な拡散等の考え方では説明できない。そこで、テイラー拡散等の複数のモデルを組み合わせることで炉心タンク内における水素ガスの移行挙動を計算し、水素ガス濃度を評価した結果計測値をよく再現することができた。また、水素ガス発生量は10 fissionあたり4molと評価できた。
荒井 陽一; 比内 浩; 駒 義和; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理設備として、多核種除去設備(MRRS)が用いられている。MRRSは前処理設備(鉄共沈工程、炭酸塩沈殿工程)と吸着塔で構成されている。各設備の運転により、水酸化鉄、炭酸塩、使用済み吸着材の二次廃棄物が発生し、これらは高性能容器(HIC)と呼ばれる容器に保管される。炭酸塩スラリーを保管しているHICから、たまり水が発生していることが発見された。ガスがスラリー層に堆積し、スラリー中の水分を追い出すことで体積が増加したと推察されたが、炭酸塩スラリーから発生するガスの挙動は不明確であった。そこで、HICに保管中の炭酸塩スラリーを用いて水素ガスの発生量を測定し、その挙動を確認した。10mlの炭酸塩スラリーを容器に入れ、3, 7, 14, 21日後に、ガスクロマトグラフを用いて、水素濃度を分析した。水素の総量は時間と共に比例して増加する傾向にあることを確認した。また、各測定時のG値を求めた結果、水の放射線分解の理論G値とほぼ同等であることを確認した。その結果から、炭酸塩スラリーの放射線分解で発生する水素は、水の放射線分解によるものと確認した。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所の汚染水処理を行う多核種除去設備から発生する二次廃棄物は、固化処理の実績がないものが多く、新たな固化の方法を検討する必要がある。廃棄物処理技術グループでは、固化技術の選定に向けた基礎データの取得を目的として、既存の固化技術を対象に模擬廃棄物を用いた固化基礎試験を進めている。水を用いた固化技術(例えば、セメント固化法)で作製した固化体では、水の放射線分解による水素ガスが発生する。水素ガスは可燃性ガスであるため、処分時の安全性を確保する上で放射線照射時の固化体からの水素発生の評価が重要である。本試験では無機固型化材を用いて二次廃棄物のうちケイチタン酸及びアンチモン吸着材を固化した場合に、廃棄物に含まれる核種由来の線による水素ガス発生量を評価する目的で、工学的な成立性の観点から最適化した水固型化材比で固化試料を作製し、電子線照射試験を実施した。試験の結果、乾燥前後の重量変化から固化試料の含水率を求めた。単位水重量あたりの水素ガス発生量を算出した。
永石 隆二; 本岡 隆文; 山岸 功; 井上 将男*; 松村 太伊知
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多核種除去設備(ALPS)の高性能容器(HIC)中で起きた炭酸塩スラリーの液位上昇に伴うたまり水発生は、スラリー中のSr-90等からのベータ線による放射線分解に起因すると考えられるが、詳細は明らかにされておらず、その原因究明を含めたスラリー廃棄物の安全管理の観点から、放射線分解挙動に関する研究を段階的に進めてきた。本研究では、一連の実験の中で炭酸塩スラリー中の放射線分解挙動について明らかにした。ここで、処理水中の海水成分や添加物の炭酸塩が与える水の放射線分解への影響について明らかにするとともに、分解生成物の過酸化水素の熱分解による酸素発生等について議論した。